よくある質問「移住・駐在について」
よくある質問「移住・駐在について」です。
- Q.1シンガポールに移住するには?
シンガポールにはタイやマレーシアにあるような移住ビザはありません。ではどのようにして移住するかというと、シンガポールに会社を設立してそのDirectorに就任します。そのDirectorとしてビザ(EP)を取得することで移住を行います。そのため、シンガポール移住と法人設立はワンセットです。ここで気を付けたいのは、法人を設立すればDirectorに当然に就任できますが、ビザの発給は当然のようにリンクしません。この点についてはQ6.にて回答させていただいております。
- Q.2シンガポールの税務上の居住者となるには?
シンガポールでは数値基準と質的基準によりシンガポール居住者か否かが判断されます。数値基準=暦年で183日以上のシンガポール居住質的基準=暦年で183日未満であるが居住と認められる相当な場合多くの人は数値基準を守ってシンガポール居住者を確保してます。みなさん、手帳やカレンダーに○をつけて日数管理をされてます。
- Q.3日本の非居住者となるには?
所得税法上、非居住者とは、国内に住所を有していない又は現在まで引き続いて1年以上居所を有してない個人、をいいます。ここで住所とは、生活の本拠をいいます(民法22条)。居所とは、生活の本拠のレベルには至らないが人が相当期間継続して居住するレベルの場所、と言われています。日本はシンガポール(Q2参照)と異なり、数値基準により居住or非居住を判断しておりません。あくまでも本人の居住実態に応じて、客観的事実に基づき居住or非居住が判断されます。住民票を抜いたからといって非居住者になるわけではありません。例えば、国内に居住することとなった個人が国内において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有している場合は居住者として推定されます。また、家族と家を日本に残して海外の漁に出てほとんど日本にいない場合であっても、その漁に出た個人にとっての生活の本拠地はあくまでも日本といえるので居住者と推定されます。あくまでも、居宅、職業、親族の居住状況、等の客観的事実に基づいて総合的に判断して居住者か非居住者かの判定が行われます。
- Q.4移住により日本の所得税・住民税はどうなるか?
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<所得税>
日本の所得税は全世界所得主義に基づき、居住者に対して全世界で稼得された所得に所得税を課します。つまり、世界のどこで稼いでもその所得は日本において所得税の課税対象となり、申告・納税の義務があります。非居住者になれば国内源泉所得を除き日本の所得税は課税されません(もしくは源泉税のみで済むようになります)。そのため多くの方がシンガポールへと移住し、日本の非居住者となって税金負担を減らしています。<課税されない例>海外不動産所得
日本の居住者→不動産所得として住民税と合せて最大50%課税(2015年からは55%課税)。日本の非居住者→日本の所得税・住民税はかかりません。<源泉税のみで済む例>日本の給与・取締役報酬
日本の居住者→総合課税により住民税と合せて最大50%課税(2015年からは55%課税)。他に社会保険負担あり。日本の非居住者→日本から支払われる給与は源泉されません。役員報酬の場合は日本で20%源泉されて終了です。<住民税>
1月1日において国内に住所を有していれば前年度所得に基づき住民税が課税されます。仮に年の途中で非居住者になっていても1月1日において国内に住所を有したら住民税は逃れられません。そのため、11月~12月がシンガポール移住が多いシーズンと言えます。 - Q.5移住時/駐在時に行う最低限の手続は?
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<対、所得税>
出国時までの所得は、所得税を申告・納税する必要があります。手続としては、出国時までの所得につき、準確定申告をしてください。会社員の場合は、年末調整に準じた手続を会社にしてもらってください。なお、日本に投資不動産等で不動産所得が出国後も生じるような場合は、納税管理人を選任して税務署に届け出て、自分がいない間の日本の所得税申告を行えるようにしてください。<対、住民税>
住民票を抜いて下さい。なお、住民票の有無は居住者・非居住者の判断には影響がありませんが、住所を有しているということで住民税は課税されます。 - Q.6シンガポールに移住するためのビザの取得方法は?
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シンガポールに居住するためにはビザが必要です。
ビザには複数の種類があります。代表的なものを次で説明します。
①就業許可証→Employment Pass(略、EP)・・・本人のみで次のように家族にDPを出せる
P1 月収8,000SGD以上 配偶者+21歳以下の子供+内縁の配偶者+21歳以上の障害を持つ子供+両親(LTVP)
P2 月収4,500SGD以上 配偶者+21歳以下の子供+内縁の配偶者+21歳以上の障害を持つ子供
Q1 月収3,000SGD以上 配偶者+21歳以下の子供
S 月収2,000SGD以上
②扶養家族滞在許可証→Dependent Pass(略、DP)
EPのランクに応じてDPを出せる家族が決まります。
DPはシンガポールにおいて就労することができます。
③学生滞在許可証→Student Pass
EPが無くなった後も子供は学校に通わせたい場合に取得します。
家族1名にLTVPという就労できないビザを出せます。兄弟で下の子どもが未就学児のためStudet Passが下りない
場合で、上の子供と母親を残す組み合わせを取った場合、下の子は日本に帰国させる必要があります。移住する場合、シンガポールの企業に就職するのであればEPを出してくれるところに就職すれば事が足ります。問題なのは自分のコントロール下でシンガポールに移住するにはどうすれば良いかということです。これはシンガポールに法人を設立して、EPのP1を取得するのが王道です。P1は企業家・投資家向けのビザです。
さて、EPのP1が取れるかは、シンガポールにおける月収・過去の職歴・学歴が大きく影響します。なお、新規設立の会社からEPのP1を出すには会社の信頼性という観点から100,000SGDの資本金があると認められやすいと言われています。
<EPの取得申請>
シンガポール政府の人事省(Ministry of Manpower)に対し、雇用主が行います。そのためEP取得時には法人が設立済であることが必要です。
必要書類
・申請書(氏名、性別、生年月日、学歴、職歴、シンガポールでの職務内容、等)
・英文で学歴を証明する卒業証明書
・写真
・パスポートコピー<EPがおりる期間>
1ヶ月程度はかかります。EPが取得できるかは、シンガポールにとって価値がある人間と判断される必要があります。本人の学歴・職歴・収入、会社の規模・事業内容が審査されます。 - Q.7年明け移住と年末移住の税金に与える差は?
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<所得税>
移住時期は関係ありません。居住者であった期間の所得については所得税が課されます。非居住者になる時に所得税を申告・納税して清算します。<住民税>
1月1日に日本に住所を有している者に対して課税します。そのため2013年末までに移住が完了していれば2014年に支払うべき住民税は課されませんが、年が明けて2014年の正月後に移住した場合は1月1日に日本に住所があるため2014年に支払うべき住民税は課されます。 - Q.8シンガポールへの移住で税金等はどれくらい安くなるのか?
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<キャピタルゲイン課税>
日本においては上場株等の売却益には源泉分離課税により20%源泉されますが、シンガポールでは課税されません。不動産を売却することで発生する不動産売却益についてもシンガポールでは課税されません。<インカムゲイン課税>
日本においては、上場株式等では源泉分離で20%、非上場株式からの配当は年間40万円を超えると総合課税により所得税が重くかかりますが、シンガポールでは国内配当については課税がなされません。以下は、給与所得ベース・税引後社会保険負担後での手取り額の概算です。金融所得や不動産譲渡所得等を得ているような方は下の概算よりもかなり手取りが増えます。なお、個別に概算希望の方はお問合せページよりお願いします。
<収入1,000万円(全額を給与とする)>
・日本(~2014年)≒7,466,495円
・日本(2015年~)≒7,466,495円
・シンガポール≒8,856,223円<収入2,000万円(全額を給与とする)>
・日本(~2014年)≒13,476,567円
・日本(2015年~)≒13,476,567円
・シンガポール≒16,982,936円<収入3,000万円(全額を給与とする)>
・日本(~2014年)≒18,664,392円
・日本(2015年~)≒18,664,392円
・シンガポール≒24,958,293円<収入5,000万円(全額を給与とする)>
・日本(~2014年)≒28,664,392円
・日本(2015年~)≒28,398,553円
・シンガポール≒40,958,293円<収入1億円(全額を給与とする)>
・日本(~2014年)≒53,664,392円
・日本(2015年~)≒50,898,553円
・シンガポール≒80,958,293円<収入3億円(全額を給与とする)>
・日本(~2014年)≒153,664,392円
・日本(2015年~)≒140,898,553円
・シンガポール≒240,958,293円上記はあくまでも全ての給与所得によった場合の計算です。配当、株式売却益、FX、不動産譲渡益、等がある方は上記よりもかなりの税金等の負担がなくなります。
- Q.9シンガポール移住後、子や孫に対して日本の贈与税・相続税が課税される範囲は?
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次の表を参考にしてください。平成25年4月1日以降の場合です。(平成25年12月6日現在)
親子ともに5年超、シンガポールに移住した場合、国内財産のみが贈与税・相続税の対象となります。上記①つまり、国外財産は課税対象とはなりません。ここが重要で移住とともに国内財産を国外財産へと変更していければ課税対象外となります。ご相談下さい。
(参考) 子供や孫を外国籍にするだけの贈与税・相続税逃れは平成25年4月1日以降できなくなりました。上記④ 出産さえアメリカで行えば米国籍を取得できたので日本国籍さえ取得させなければ、国内に住所がない子や孫に対しての贈与税・相続税は課税対象外でした。しかし、このような課税逃れが横行したため、平成25年4月1日より厳しくなりました。ただし、上記②③は残されております。